2018年8月から開始したルワンダの貧困女性調査は11月までに102件終了しました。
↓貧困女性への調査を始めるに至った経緯はこちらをご参考ください↓

実はルワンダは貧困などマイナス面の情報について知ろうとすると閉鎖的で、さらには言論の自由が認められていない国でもあるため、貧困女性の家に訪問し話を聞くという事は難しくリスクがあるのです。
そんな環境で102人の女性にインタビューを成し遂げられた理由を振り返ってみて、一番はじめに思い浮かぶのは「適切な人との出会い」があったということです。
今日は、この活動を成し遂げた秘訣「適切な人との出会い」についてご紹介したいと思います。
新天地で新たな活動やビジネスをする方々に、信頼できる人との出会いと協力がいかに重要になるか、私の経験をもとにご紹介し、参考になれば幸いです。
目次
ルワンダの貧困女性調査:成し遂げた秘訣「適切な人との出会い」を紹介
信頼できる誰か、理解してくれる誰か
異国、途上国、さらにはルワンダのように閉鎖的な国で何か新しい事にチャレンジしたい、というとき、行政から許可をとったところで一人でできるものではありません。
行政は自分が思ったように動かないし、そして期待してものは得られないのが当たり前だからです。
自分の活動のために必要な許可、情報、書類を得るためには多くの怒りや時間を費やして行政と付き合わなければなりません。
行政との戦いがおわっても、今度は実際の活動での格闘。
活動先は「なにやってんだー」「お金をくれ」など人が集まってきて活動がなかなか進まなかったり困難に出会います。
したがって、これらを対処し、自分のイライラを最小限に効率よく活動を進めるために現地に精通した人物の助けが必要なのです。
そして、その人が自分の活動の意図を理解すること、またお互いの信頼関係が必要になります。
この調査の成功を導いてくれた出会いは2人いました。
2人とも私を理解し、信頼関係を気づけた人たちです。
この2人がいなければ絶対に100件以上も調査することはできませんでした。
ここで2人について紹介し、どのように彼らは私をサポートしてくれたのか紹介します。
ピーター
1人目は100件以上のインタビュー全ての通訳・コーディネートをしてくれたピーター。
知り合ったきっかけ
ピーターとの出会いは知人の紹介です。
信頼のおける知人が信頼をおける人としてピーターを紹介してくれました。
母国でない文化の異なる国では、初めから信用できる人はなかなかいません。
ルワンダや多くの途上国では外国人はお金を持っていると思われ現地の人よりも多く請求されることがあります。それが妥当な範囲だったら良いですが、時には信じられない額を求めてきて、イザコザに巻き込まれることもあるのです。
したがって、このように信頼のおける知人の紹介というのは大きな助けの綱となります。
調査の成功に導いた彼の行動
ルワンダで役所の許可なく物乞いしている人に話かけインタビューしようとすると、周りの人々が「許可はとっているのか?」と詰め寄ってきます。
貧しい人と話したりルワンダの負の部分に踏み込もうとすると閉鎖的な印象を受ける国です。
だからといって役所に調査申請許可を出し、行政からは許可を得られたのですが、なかなか貧困者訪問リストが手にはいらない。
と、ここで活躍したのがピーター。
毎日役所に出向き担当者から貧困者リストをもらうまで1ヶ月もの期間粘り強く通い続けてくれ、どうにか調査させてもらえる人のリストをゲットできました。
私ひとりだったら、役所でぶちギレて怒鳴りちらし、調査をオジャンにしていました。
そしてさらにまた問題が。
せっかく手にいれた貧困女性リストですが、リストに載っている家を訪問すると何故だかあまり貧しくなさそうな家庭ばかり。
これは推測になりますが、行政が外国人に貧困の実態を知る事を拒んでいる
(役所が本当に貧しく支援を必要としている人を把握していないとは考えづらいのです。ルワンダは縦に情報が移動し、各家に誰が住んでいるのか、誰がなんの仕事してしるかなど本当に細かく村単位で情報を集め、何か問題があればすぐに役所に話が届きます。)
もしくは担当者が貧困家庭を本当に知らない、担当者の知り合いばかり書いた、などの理由で本当に貧困の人に出会えないのかもと推測しました。
はて、困った。
とここで、またピーターが活躍します。
ピーターは状況を的確に判断し、自ら近くの公立小学校に出向き、学費が払えない子供たちのリストをもらってきたのです。
そして学校長から村に私が調査に行く旨をちゃんと伝えてくれるよう手配してくれていました。
彼は私がどういう人から調査を得たいのか理解し、どうしたら解決できるか自分で考え、行動したのです。
リストを手にしたピーターを見た時、信頼感は確信に変わりました。
ローズさん
2人目は貧困女性の家を一軒一軒案内して一緒についてまわってくれたローズさん。
出会ったきっかけ
彼女は訪問先の村でかつて健康管理アドバイザーボランティアでやっていた方。彼女は役所の紹介で出会ったので、正直言ってはじめは彼女を信用していませんでした。
わたしたちがこのリストの人々でなく本当に貧しい人と話をしたいのだと彼女に話をすると、私たちを本当に貧しく生活に困っている人のところ案内してくれたのです。
調査の成功に導いた彼女の行動
彼女は健康アドバイザーとして村を知り尽くしていました。
ルワンダのスラムといわれる場所は小さな家が密集して入り組んでいるため、迷路状態なのです。その迷路を彼女は全て把握し、どこに誰が住んでいるのか熟知しているのです。この集落で彼女は60人以上の貧困女性を案内してくれました。
そして彼女のさらにすごいところは、村の人々の信頼感を得ているということ。
ある日、売春をしている女性の家を訪問しました。
(この布団一つ入るスペースが家の全てです。ここで売春することもあります。)
彼女は売春していることをあまり話たくなさそうでした。
私も質問への答えは強要できないため、話の辻褄が合わなくどうしようか思っていたところ、ローズさんが「この人たちに話しても大丈夫よ」と一言、女性に話してくれたのです。
その一言がきっかけで女性は素直に事実を話すようになりました。ここで話を得た情報はとてもとても貴重なもので彼女なしには得られない情報でした。
彼女を信用できるようになったきっかけ
彼女は本当に支援を必要としている女性だったのに、それを私に話さずに支援も求めずに毎日笑顔で私を案内してくれていたのです。
インタビューを重ねるうちに「ずっと調査について案内してくれているけど、ローズさんの仕事には支障ないの?」と聞くと「大丈夫よ、今仕事ないから」と話していました。
ん?と思って彼女の家庭背景を知ると、夫は数年前に他界し、彼女も数ヶ月前に失業し、家賃も子供の学費も払えていない事を知りました。
ある日、家にいくと今まで会ったことのなかった高校生の次女がいました。
話を聞くと、前の週に学費が払えなくて追い出されたのだと言います。
ローズさんは自分が毎日苦しいのに私のわがままに付き合ってくれていたのです。
彼女の謙虚さと優しさと人を思う気遣いに涙でました。