2015年マッキンゼーという超一流のコンサルティング会社がデザイン会社を買収しました。
なぜまったくジャンルの違う会社を買収したのでしょうか?
ビジネスと美意識を関連づけて考えたことありますか?
ビジネスの成長には美しいと感じるセンスが重要になってくることご存知でしたか?
あのソニーのウォークマンもappleのiMacも直感や美しいという感覚によって生み出されたのをご存知でしたか?
この記事では哲学・美学の知識と豊富なコンサルティング経験を掛け合わせた専門家山口周氏の著書「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?」を紹介しています。
美意識がなぜ経営に必要なのか、美意識を大切にして成功した会社、美意識にかけて失敗した話、など客観的に彼の見解で書かれており興味深い実話がたくさん紹介されています。
また読んでみて美的センスがビジネスに必要であることは合理的に理解できる一冊です。
目次
本「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?」アートのサイエンスのバランス

この本を手にとったきっかけ
私は日頃から直感とか美とかそういった類の感覚を感じることが好きで、たまたま手にとった本なのですが、この感覚がビジネスに役立つとは驚きでした。
この本をオススメする人
美術の評価だけが良かった学生時代を送ってきた方、アートが好きだけどそれが何に役立つのかわからない方にぜひ読んでいただきたい。
こういった方々が実が経営者向きだということがお判りいただけると思います。自信をもてる一冊です。
著者の紹介
著者は山口周さんで、文学部哲学科卒業、大学院にて美学美術史学専攻しアートを学んだ方です。彼は有名なコンサルティング会社での経験を得て、現在はイノベーション・組織開発・人材/リーダーシップ育成を専門とされて活躍をなさっています。
内容紹介
会社における美意識とは何か?なぜ必要なのか?
「会社」を「作品」と考える「社会彫刻」というコンセプト、すなわち会社に携わる人はアーティストでその自覚と美意識が必要とヨーゼフ・ボイスが提唱しました。
彼はこの世界をどのようにしたいか?というビジョンをもって毎日の生活を送るべきだと言っています。
ではなぜ美意識が会社運営において必要となってきたのでしょうか?
マズローの生存の欲求をつかって説明すると、現代では生活レベルが上がり、自己実現欲求(自分らしい生き方の実現)を求める動きが強くなり、それが経営においても必要とされてきています。
戦後に日本がどうやって発展しきたかというと「論理と理性」という基礎にしたビジネス、そして、スピードとコストを武器に上り詰めてきました。
でも現在は、論理と理性、スピードとコストだけでは、結局はみんな同じ結論に至るので差別化を図ることが難しいレッドオーシャン状態なのです。
だから今求められているのはこの差別化をつくるために「美意識が必要」ということなのです。
この本は実際にこの美を追求してウォークマンというヒット商品を生み出したソニーの功績や成功の秘訣を紹介しています。
またAppleのスティーブ・ジョブスのiMac成長の秘話も紹介されています。
たくさんの成功実話を紹介してくれているのでわかりやすく信憑性も高いのもこの本の特徴です。
美意識・直感の磨きかた
ただ闇雲に直感や美意識に基づいて意思決定すれば良いのではなく、
論理や理性で考えても白黒のつかない問題については、むしろ「直感」を頼りにした方がいい
と著者は言います。
しかし、この直感も正しいかわかりませんよね?なので本書は直感や美意識を鍛えるための方法を紹介しています。
アートとサイエンスのバランスの取り方
美意識・直感は証明や言葉の説明が難しく、根拠が明確でないため、なかなか信頼されず、取り入れ難いのが問題です。
実際に「クックパッド」の経営陣のアート「食のロマン」とサイエンス「業績・数字を優先する」の戦いがおこったのですが、これが興味深く、なぜこんな争いになったのか、結果がどうなったかこの本で取り上げられています。
アートばかりにこだわって数字を無視していたら経営はうまくいかない。だから会社のトップはアートで考え、その量翼で会社を支える補佐をサイエンスの得意な人にやってもらう、とパワーバランスがとれて良いということを著者は言っています。その仕組みで成長をとげてきた錚々たる会社経営陣が書かれています。
美意識による差別化の作り方
これが「クールだ」「これが美しい」という想像的に経営していくことで、消費者は「〇〇を使っている自分がクール」という自己実現欲求を満たしてくれ、それが今の消費者・経営には必要なのです。
Apple社の世界観とストーリーは他の会社は真似できない。macを使っている自分を売れるのはApple社だけなのです。この世界観をつくるのがアート。
美意識の欠如がもたらす問題
偏差値は高いが美意識が欠けている人がおこす社会問題にも触れています。
その一例としてオウム真理教の麻原彰晃が紹介されています。そしてオウム真理教が作り出したシステムが美意識の欠けた会社の構造と似ていると著者は言っているのです。
現代では技術の進歩により法律が新しい技術・システムに追いつかないという現象がありますが、そんな中でもビジネスは常に倫理からはずれず正しい道を選択し、かつ勝ち残らなければならない。
だからそのセンスを磨くためにもアートが必要になるのです。