読書

本「国境なき助産師が行く」:国際支援する難しさに直面した時にオススメする一冊

国境なき助産師が行く

JICA海外協力隊のように異文化の中で生活し、価値観の全く異なる人と一緒に活動をするということは一筋縄にはいかない、それは異国に行く前から覚悟はしているものですが、現実は想像以上にストレスに溜まるものですよね。

援助慣れしている同僚、ガツガツ言いたい事だけを言ってくる同僚、どんなに教育しても相手に全く響かないこともあります。そんなとき、どうしたら良いのだろう、国際援助とは何だろう、と悩みませんか?

私はJICA海外協力隊時代にそんな悩みをもっていました。

この記事で紹介する本『「国境なき助産師が行く」ー難民救助の活動から見えてきたこと』は「国境なき医師団」で助産師として難民キャンプで医療スタッフとして活動する著者が内戦の現状や難民の人々の様子をありありと書いた本ですが、その中での彼女の同僚との関わり方はJICA海外協力隊の人にも参考になることがたくさんあります。

本「国境なき助産師が行く」:国際支援する難しさに直面した時にオススメする一冊

概要

本の著者であり助産師である小島毬奈さんが2014年から国境なき医師団の一員として計8回の派遣を通して見て感じた難民の抱える問題や現実を描く一冊です。 難民の現実は厳しいがそれでもまた参加したくなる国際協力の魅力を伝えてくれています。

内容

2014年のパキスタン派遣に始まり、イラクやレバノンの難民キャンプから地中海難民ボードでの活動など多岐にわたる現場で出会う難民の人々の現実、特に助産師の視点から女性のレイプ被害や中絶についても彼女が関わった女性たちの実体験を紹介。

また、世界各国から集まる国境なき医師団のチームメンバーと異なる価値観の中で一緒に働くこと、内戦下で生まれ育った現地スタッフと一緒に働くこと、それらを通して著者が見て感じ考える国際支援についても書かれています。

厳しい現実の中での活動でも笑顔でそして現地の人々のために懸命に活動する著者の様子が目に浮かんできて、彼女が感じている国際支援の魅力が伝わってきます。

著者の紹介

著者の小島毬奈さんは都内の病院で普通の助産師として働いていましたが、その中で感じる違和感に限界を感じ5年目で病院を辞めます。 そして、アフリカでのボランティア経験を得て2014年に国境なき医師団に登録。約4年間で8回の派遣を経験します。

この本をオススメする人

JICA海外協力隊のように途上国など異文化の中で生活し、国際協力・国際支援に携わっている人にオススメします。

異文化の人と働くことの難しさに悩んでいるときに考え方のヒントをくれます。

印象に残った内容を紹介:現地の人の気持ちに立ってみる

現地の医療者には彼らのやり方があり、宗教的な信仰や文化、習慣がある。そこに風習文化の違う人が先進国からやってきて、「これが正しいのよ」と半年ごとに違うことを言われる。それに合わせなきゃいけないのですから、彼らも大変です。

自分がどんなに正しいと思っていても、それが現地の人のためであっても、現地の人は異文化で育った人たち。まずは「信頼関係を築く」が大切だと気付いた著者が現地スタッフとどのように関わって活動をしていくのかが描かれています。

「信頼関係を築く」ため、また仲良くなろうとして何でもかんでもやってあげるというやり方は「難しいことは、やってくれるんだ!」と現地スタッフに思わせてしまう。それで良いのか?国際支援とは何か?どうやって援助するか?どうやって信頼関係を築くか?それは個人の考えや価値観に左右される、と著者は言います。

おろらく答えはないのかもしれません。それが援助の難しさでもあり、面白さでもあるのだと感じました。

ABOUT ME
Chisato823
千里(Chisato) ルワンダ在住、助産師。 ビジネスで女性支援をするためAfricanDaisyを設立 元青年海外協力隊(27-3/ラオス) バツイチ再婚、遠距離恋愛も経験済み。 アフリカ旅情報やルワンダ女性のこと、書評や日常など書いています。