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フランス料理を日本に普及させた辻静雄の半生を描く「美味礼讃」を紹介

日本では本格フランス料理レストランが街中に溢れ、身近に美味しく本格的なフランス料理が食されるようになりました。どのようにフランス料理が日本に浸透されたかご存知ですか?

この記事ではフランス料理を日本に広く普及させた先駆者であり、辻料理師専門学校校長の「辻静雄」の半生をモデルとした物語「美味礼讃」を紹介します。

フランス料理を日本に普及させた辻静雄の半生を描く「美味礼讃」を紹介

この本を手にとったきっかけ

グルメに興味のある私は、料理に情熱を注ぎ、本物のフランス料理を日本に初めて普及させ基礎を築いた彼の偉業に興味を持ちこの本を手にとりました。

どのようにフランス料理を日本に普及させたのか?知りたくなったのです。

料理方法やレストランで出される一品一品の細部まで文章で表現し読んでいて想像力が膨らむことも読む楽しみの一つでしたが、日本にフランス料理を普及させ、世に多くのすばらしいシェフを生み出すために奮闘した彼の情熱と探究心の強さ行動力と意思の強さに感銘を受ける一冊でした。

あらすじ

日本に本格フランス料理を普及させた辻静雄の半生をモデルにしてできた小説です。

主人公の辻静雄(以下、静雄)は早稲田大学第二文学部仏文科に在学中に食べるということに魅了され始めます。しかし、大学卒業後は記者になりました。

ある時、ひょんな事から静雄は大阪の料理学校の経営者である辻徳一の娘・明子と出会い、結婚します。

当時の料理学校はお金持ちの主婦しかこないため、日本のコックたちを養成し一流の料理人を教育することができないと考えた静雄は記者を辞め調理師学校を始めることにします。

調理師学校で一流の調理人を育て上げるには腕の良い調理人が必要になりますが、当時の日本には西洋料理と言われるオムレツやハンバーグなどがフランス料理として出回り、本当のフランス料理を調理できる日本人がいないということに静雄は気がつき、大きな壁にぶつかります。

そこで、本物のフランス料理を知るために静雄と妻の明子は修行にでます。はじめにアメリカへ行き料理に関する研究所やエッセイ集を出版しているメリー・フランシス・フィッシャー、「Bouquet de France」を書いているサミュエル・チェンバレンに会い、本物のフランス料理を食べ理解するためには「Guide Michelin」で紹介されている三つ星レストランを訪れることを勧められます。そこでフランスで三つ星レストランを守り抜くレストラン「ピラミッド」の夫人マダム・ポワンを紹介されます。その後2人はフランスへ行き、ピラミッドで一流のフランス料理を味わい、2週間の滞在で他にも4軒の3つ星レストランと20軒の2つ星レストランを食べ周りその味を叩き込んだのでした。

帰国後、本物のフランス料理を作れる調理人を育て、その人が生徒に教えられるように環境を作っていくために奮闘します。

フランスで食べた料理や味を紹介した本を出版し、多くの日本人にフランス料理とは何かを伝授します。また学校ではフランスで学んで料理法を教えます。そうして一歩一歩前進しながら長い年月をかけ日本一の調理学校を作りあげていきました。

この物語は静雄の「良い学校とは何か、どうしたら一流の教育を与えることができるのか」という探究心と料理に対する情熱、そしてその情熱が多くの人を動かした賜物によって作り上げられています。

この本をオススメする人

料理に興味があり、今はどこにでもある本格フランス料理をどうやって日本に普及するに至ったか、興味がある人にオススメします。

著者の紹介

著者は海老沢泰久。1974年に「乱」で小説新潮新人賞を受賞してデビュー。1979年、ヤクルトの監督として優勝を成し遂げた広岡達郎をモデルにした「監督」を初の著書として出版し、話題を呼びます。その後ホンダF1を取り上げた「F1地上の夢」や1994年「帰郷」で数々の賞を受賞。スポーツ関係のノンフィクションを多く書いています。

また、本記事で紹介している美味礼讃は1992年に出版されています。

感想

彼の情熱一つ一つが周囲の人を魅了し巻き込み日本で一番の調理学校を作り上げた半生の物語に魅了されました。

特に彼は、お金を惜しまずに、一流の教育のために生徒をフランスに研修に行かせたり、さらに多くの人に伝授するために本を出版したりした決断力や行動力に特に感銘を受けました。

ABOUT ME
Chisato823
千里(Chisato) ルワンダ在住、助産師。 ビジネスで女性支援をするためAfricanDaisyを設立 元青年海外協力隊(27-3/ラオス) バツイチ再婚、遠距離恋愛も経験済み。 アフリカ旅情報やルワンダ女性のこと、書評や日常など書いています。