この記事は、日本でまさに今起こり始めている「小さな経済圏」を紹介している本「なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏でいきるべきなのか、ということ。」を紹介します。
現在の日本社会はなんでも手に入るようになり、同時に頑張っても幸せになれない社会になり、それに気づき、疲れる人が多くなってきています。ではどんな日本社会なら幸せに自分らしく生活できるのか?この本は経済圏というキーワードを使って日本社会のあるべき姿を教えてくれています。
「行き過ぎた資本主義」とズバッと痛いところをつきますが、文章にトゲはなく、優しく頭と心にスッと入ってくる一冊です。
目次
本「なめらかなお金がめぐる社会」社会に違和感を感じた時におすすめ
この本を手に取ったきっかけ
資金調達について考え、クラウドファンディングも視野に入れていた頃、クラウドファンディングなど新しいことを始めている起業家の家入一真氏が書いているこの本を見つけ、この本を手に取ってみました。
この本をオススメする人
今の日本社会=行き過ぎた資本主義 に疲れたり、フィットしないと感じている人にオススメします。
また生き甲斐や夢があってもどうしたら良いかわからない人にもはじめの一歩を踏み出すキッカケを作る後押しをしくれます。
資金調達について考え疲れていた私は、この本を読んで気持ちが楽になりました。
著者について
著者:家入一真氏はデザイン会社・コンピューターシステム会社で働いたのちに独立し、29歳という最年少でジャスダックに上場した起業家。
現在はクラウドファンディング 『CAMPFIRE』やECサイト『BASE』を作り上げたり、シェアハウス『リバ邸』をつくるなど やりたいことができる社会を実現するために多様な場を創っています。
この本の概要
大きな経済とは言い換えると”行き過ぎた資本主義”で もっともっとと常に何かを求め、金持ちになりたい、有名になりたい、大企業で働き、ブランド物を身につける生活にあこがれる経済圏のことです。
一方、小さな経済圏は 自分だけの何か大切なもの”only”があり、田舎でその土地の価値を引き出し経済を回している経済圏のことです。
現状として経済成長期が終わり、なんでもかんでも手に入るようになった今、頑張っても幸せになれない社会になり、それに気づきはじめたのがこの最近の世の中。
さらに’さとり世代’といわれる今の20代は「社会のために何ができのか」と考える人が多いのだそうです。なぜならば彼らは生まれた時からなんでも手に入り、いわばマズローの欲求5段階説でいう「自己実現欲求」の段階にいるからなのです。
もちろん今の若者がさとり世代になれたのは、親の世代やその上の世代の方々が戦後、経済成長を作ってくれたからで、今の大きな経済圏=資本主義をさらに発展させることも大切だと著者は言います。しかし、それだけでなく小さな経済圏も許容される社会にある。ということを著者は強調しているのです。
「小さな経済圏」こそが、何かと生きづらくなった現代の、新しい生き方の鍵を握っている。
この本のなかで
1. 小さな経済圏とは何か、良い社会とはなにか
2. 小さな経済圏の実際を例をあげて紹介
3. 小さな経済圏のこれから
に関して著者が手がけたクラウドファンディング CAMPFIREでの物語を紹介しながら説明してくれています。
内容の一部紹介
良い社会とは
幸せとは何かと考えたら「自分のやりたいことができる」ということなんじゃないか、と思う。だとすれば「いい社会」とは「各自が自由に自分の幸せを追求できる社会」ということになる。つまり、経済的というよりも、精神的に持続可能な社会だ。
と著者は言います。
ただ闇雲に本来の自分以上の’何か’になろうとするのではなく、素直に自己を見つめ、己を知り、自分の理想を追ってそれ以上を求めない生き方を実際にできる世の中が良い社会だと著者はいいます。
ここで理解したのは、自分の幸せは人それぞれでどんな幸せのあり方があっても良い、比べられるものではないということ。私は、良い服を着て、大きな家に住むことが幸せと考えていたがそれに疲れ感じて日本を離れた。それは自分の本当の幸せでなかったのだと気づけた、それで正しかったのだと気づけたことですごく安心したのでした。
GIVE&TAKEな世の中
クラウドファンディング 「CAMPFIRE」の目的は
「資金調達を民主化し、世の中のだれしもが声をあげられる世の中をつくる」ことだといいます。
これは、この行き過ぎた資本主義にフィットしない人が小さな経済圏を実現するための手段になる。
誰しもが声を上げられるということが大切で、それを実現するためには世のお金をもっと、なめらかにしないといけない、と著者は言います。
なめらかにお金がめぐると、誰しもが成し遂げたい何かを追求できる世の中になる。
そのお金をなめらかにめぐらせる手段としてcampfireやpolcaがある、と。
思い込み
なぜ多くの人は、人生の多くの時間をすきでもない仕事に費やすのか?
それは、他に生活費を稼ぐ手段がないと思い込んでしまう状況があるからだ。
なぜ多くの人は、富や権力に取り憑かれてしまうのか?
それは、富や権力が自己実現の可能性を広げる唯一の選択肢だと思い込んでしまう状況があるからだ
GDPと幸福度は比例しないと著者は言っていましたが、その通りだとおもいます。
私が現在活動しているルワンダの貧困女性たち(1日1.9米ドル以下で生活する人たち)と話していると、ほぼ100%の女性たちが「夢はビジネスをすること」と言います。何もないからこそ食べるためのお金が欲しい、また、他の選択肢を考える教育も経験も知識もえられていないから仕方のないことだとわかっています。しかし彼女たちにはそれしか方法がないと思い込んでいるのだと気づきました。
そして、真逆のラオス。

ラオスのGDPはルワンダと対して変わらないのに田舎にいっても誰一人金をくれとは言わない。どんなに貧困でも彼らは自分のもっている最大のおもてなしをしてくれる。彼らの精神のベースは助け合いで、ギブアンドテイクが成り立っている社会なのだ。もちろんそれは社会主義、仏教、内陸国のラオスだからこそ生み出せた賜物なのだと思うのですが、私はこのラオスでの生活がのんびりしていて人間らしくいられる唯一の場所だといまだに感じています。
感想
この本は、ちょっとした小さな経済圏の事例や実際に起こった身近な小さな経済圏が紹介されています。
だから理想の社会を語るだけでなくて、現実味あり、アイデアが湧いてきやすいし、なによりも自分もできるかも、と思えるようになります。
著者は実際にクラウドファンディングなどで「何かしたい」と思っている人のために場所や機会を提供してくれている。
そして、失敗しても帰れる場所も作ってくれている。
この本で、本当の自分について素直に考えることもできるし、その先にあるシナリオを自分でつくるためのヒントもたくさんくれています。
人それぞれ幸せの在り方は違うし、その世の中の方が絶対に楽しいから、「こんな考え変かな?」とか、「こんな挑戦失敗するだろうな」とか心配にならなくていいのだと勇気がもてました。