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本「豆の上で眠る」姉妹とは何か?予想できないクライマックス

豆の上で眠る

この記事では「えーそんな結末予想できないよ!」と思わず声を上げてしまった期待以上のミステリー小説「豆の上で眠る」を紹介します。

ネタバレなしです。

本「豆の上で眠る」姉妹とは何か?予想できないクライマックス

感想

描かれる臨場感に、今にも何か怒るのではないかというドキドキが終始続き一気に読みきりました。

主人公である妹の子供ながらの心情や思考がありありと描かれていて、それが次女とした生まれ育った私の幼少期の心境と重なるのが面白いかったです。

一方で小学生が親や周りの大人から翻弄されて姉のために自己犠牲をして過ごした2年間に虚しさを感じ、感情移入し、モヤモヤしたままクライマックスに突入する感じがドキドキをさらに助長してくれました。

あらすじ

結衣子が小学校1年生の時、2歳上の姉・万佑子が失踪した。

スーパーに残された帽子、不振な白い車の目撃証言、数年間監禁されていた隣町の女の子が解放された事件、そして変質者の噂。

必死に探す結衣子たちのもとに2年後突然、万佑子と名乗る少女が帰ってきた。

違和感を覚える結衣子。喜ぶ家族の中、ひとりだけが大学生になっても違和感を抱き続ける。

姉妹だからこそ知っているつながりがそこにはない。恐怖とスリルが入り混じる中、姉妹とは何か、血の繋がりとは何か、答えの出ない問いに向き合うことになります。

著者の紹介

2007年に「聖職者」で小説推理新人賞を受賞。

翌年、週刊文春ミステリーベスト10で国内部門第1位に選出され、2009年には本屋大賞を受賞します。

その後も、2012年日本推理作家協会賞短編部門、2016年には山本周五郎賞を受賞。

著書にはドラマや映画になったものが多く「告白」「贖罪」「夜行観覧車」などがあります。

驚いたことに、著者は1996年から青年海外協力隊(現:JICA海外協力隊)として活動した経験がありました。(私も協力隊出身のため親近感が湧く)

その後、結婚し、主婦業をしていたが、「何か新しいこと」「何か形にできるもの」をしようと執筆を始めたそうです。

そして、子育てと執筆を両立させながら数々のヒット作品を生み出す彼女の姿勢は2016年にベストマザー賞を受賞しています。

この本をオススメする人

強すぎるミステリーは苦手だけど、ドキドキを求めている人。

魅了ポイントを紹介

著書名「豆の上で眠る」の由来はなんだろう?と気になりますよね。

これは結衣子の姉との思い出、本にまつわる小学生時代の記憶から来ています。

むかし、あるくにの王子様がおよめさんをさがしていました。でも、王子さまのおよめさんにふさわしいおひめさまは、なかなかいません。

幼少期の姉妹の遊びは、秘密と夢に溢れています。その思い出が成長した後、姉妹であることを結びつける目に見えない絆になるのです。

そして、結衣子と万佑子の姉妹には本がその絆の一つだったのです。

この物語「えんどうまめの上にねたおひめさま」は文字を読むことが苦手だった結衣子のために姉の万佑子が読み聞かせていた物語の一つ。

あらすじはこうです。

王子さまは本当のお姫様と結婚したいと願うが、見つけられない。

ある日、ボロボロの洋服をきた少女がやってきて、自分は本当のお姫様だと言います。

信じられない王子さまたちは本当のお姫様か確かめるために、何十にも敷いた布団の下にえんどう豆を一つ置き、そこに一晩お姫様に寝てもらいました。

えんどう豆に気づくほどの繊細な女性はお姫様に違いないと思ったのです。

翌朝、その少女は「布団の下に何か硬いものがあったので、眠れませんでした。」といいました。

にわかに信じ難い妹の結衣子は、姉の提案で実際に何枚も布団を重ねて敷いて豆の感触があるのか実験することにします。

両親の部屋にこっそりはいって、掛布団を拝借。

姉妹でラムネを買いに行き、飲み終わった瓶を割ってビー玉をとる。その過程でお店のおばちゃんには店の前で瓶を割ったことで危ない、と叱られます。

家に帰り、ビー玉を豆に見立てておき、布団を敷いて2人で寝転ぶ。

そうしてビー玉の感触を楽しんでいるうちに布団の中でお昼寝してしまいます。

懐かしい気持ちになりますよね。子供の遊びをそのまま表現し、想像が広がる文章は素晴らしいです。

この記憶が結衣子の中で強い印象として残り、姉妹としての絆を作っていたのです。

失踪して2年後、突然帰ってきた姉・万佑子はこの思い出を覚えているでしょうか?

ABOUT ME
Chisato823
千里(Chisato) ルワンダ在住、助産師。 ビジネスで女性支援をするためAfricanDaisyを設立 元青年海外協力隊(27-3/ラオス) バツイチ再婚、遠距離恋愛も経験済み。 アフリカ旅情報やルワンダ女性のこと、書評や日常など書いています。