この記事では目からウロコになる本「私たちは子どもに何ができるのか?」を紹介します。
この本は、貧困が子供の非認知能力を育むチャンスを奪い、大人になったときに、この非認知能力の欠如が社会生活で支障をきたす。その結果、貧困の連鎖が生まれてしまうのだと言います。非認知能力とは何か?そして、非認知能力を育むために何が必要か?について世界中の様々な研究結果をもとに、紹介されています。
目次
本:「私たちは子どもに何ができるのか」貧困から脱出するためにできること
この本を手にとったきっかけ
ルワンダの貧困家庭で調査をしていると学校にいけない子供達に多く出会います。子供達が貧困から抜け出すためには自分ができることは何か?子供達に必要な支援・教育は何か? そう考えて悩んでいるときにこの本に出会い購入しました。
この本をオススメする人
子育てをしている方から教育現場で途上国支援で子どもたちに関わっている方まで幅広い方にオススメですが、特に貧困の環境で育つ子供たちに関わっている人にオススメします。
概要紹介
この本では、就学前の子供達に良質な保育・教育を与えることで大人になったときに犯罪率・生活保護率が低く、高校卒業率・年収が高いと言います。
良質な保育・教育は非認知能力を育みます。非認知能力が大人になったときにどのような影響を与えるのか、子どもへの接し方がどう影響するのか様々な研究・データを紹介しながら紹介しています。
内容を一部紹介
貧困と非認知能力
筆者はこう言います。
子どもの貧困は、一生の財産になる非認知能力を獲得する機会を奪い取ってしまう。
と。
この非認知能力については
「子どもの貧困」と「良質な保育・教育」がキーワードになってくるようですね。
なぜ貧困が非認知能力の獲得に問題なのか?良質な保育・教育とは何か?どうしたらいいのか?
本書で研究結果を基に詳しく説明しています。
非認知能力を育むもの
非認知脳力は子供をとりまく環境の産物である
と、筆者は言いいます。
教育の方法ではなく、環境なのだと。
働きかけるのは子どもではなく、環境なのだと。
どんな環境が必要か、またはどんな環境が非認知能力の発達を阻害するのか。
非認知能力の発達を阻害する因子は「ストレス」とか「ネグレクト」などいくつかあります。
他にも様々な要因が本書では説明されていますが、
これらの要因が幼少期に長期にわたって子どもに圧力をかけることで、常にからだがストレスや不安定な状況に対する防御体制でいることになり、
ホルモンや身体の発達に影響を与えるだけではなく、脳の発達にも影響を与えるのだそうです。
その脳の発達の影響は感情抑制が効かなくなったり、柔軟性がなく社会にうまく適応できなくなる、と述べられています。
どうやって脳の発達を育んでいくのか?
それは子供に一人の人間として愛ある接し方をする。
大切なのは会話、やりとり、語りかけの工夫。
そして子どもともっと遊ぶことで結びつきが強くなり、安心感や自信が子どもたちに根付くのです。
それが非認知能力を育む。
また親だけでなく、教師や周りの大人の関わり方で子どもの発達は促されるのだそうです。
もし子供が自宅でストレスの溜まる環境であっても、日々センターや外の環境で経験する共感に満ちた対応が大きな助けになるということです。
感想:途上国支援で子供達になにができるのか?
ルワンダの貧困女性調査で感じるのは小学校に通ったことのない女性、小学校を中退してしまった女性は高校卒業した人に比べて貧困の度合いが高いということ。しかし、高校卒業しても仕事がなかなか続かない女性もいるのも事実です。そこで疑問に感じていたのは、ただ学校を卒業するだけでは足りないのかもしれない、ということ。どんな教育が必要なのか?
小学校卒業と同時に働き始め、20歳過ぎて自力で高校に入学・卒業する人もいる。何がそうさせているのか?
ということを日々疑問に感じていました。
その時に出会ったのがこの一冊。
もし目の前の恵まれない幼い子供たちの人生を変えたいと思うなら、私たちにできるのは環境要因を改善すること、つまり子供達が日々接する大人の行動や態度を改善すること
すごく勉強になり、これからの途上国の支援において参考になる本でした。